十三機兵防衛圏感想 (ネタバレあり)

2020/01/15

はじめに、ネタバレが危険なゲームであることは間違いないのでプレイする可能性があり未プレイの方はお気をつけください。

物語について

非常にきれいな話だと思った。

最終的に救われないまま終わっていく登場人物はおらず(2188年のオリジナルたちは当然救われてないけど)、誰もが物語を前に進める役割を果たしている王道の物語だった。

自分は今までSF作品を多くやり込んできたわけではないけど、表象とそれがなぜ成立しているのかを一段階描くことがSFであることの定義なのかな~?と思いながらプレイしていた。

かなり早い段階でタイムトラベルをしているわけではなさそう・ここは地球ではなさそうだということに気づいたけど、最近個人的にこういった設定の強度みたいなものはあまり重要ではないような気がしている。

SFをあまり知らない自分でもSFというジャンルで描かれていそうだと感じる内容がこれでもかと詰め込まれていて、その部分も確かに面白いとは思ったけど、物語的に大きなどんでん返しを食らったという感じはそこまでなく、むしろキャラクターの強度によって話に引き込まれていった気がする。

設定の類似性だけで見ればある作品とある作品が似ているということはいくらでも指摘できるようになってしまった時代において、何が違いを生み出し、体験を生み出しているのかをより具体的にしてくれる作品だった。

キャラクターについて

基本をうまく抑えたキャラクターが多数存在していて、それらが話に乗せられることによってうまく変質することでこのゲーム特有のキャラクターになっていると感じた。

まず、個人的に報われないキャラクターが大好きで、南奈津乃が登場してからすぐその空気を感じ取って好きになったけど、全て丸く収まってしまったが依然その儚げな雰囲気は残していて複雑な気持ちになった。

演技が良いなと思ったのは沖野司(桐子さんかわいい)、声が好きなのは東雲諒子。特に東雲は最終的に一番報われていない感が残っており、その点でもかなり好きなキャラクターになった。

東雲は通信している時に使われている背を向けて顔はこちらを向いているイラストが一番いい。沢渡美和子も準メインキャラなのに最後ギリギリまで報われないんじゃないか感があったので好感度高い。

ボヤっとしたままだなーと感じているキャラクターも何人かいて、まあ鞍部十郎と冬坂五百里なんですが、この2人は他キャラよりもループによる因縁が強すぎて周回前のキャラクターのほうが魅力的になってしまった結果、それを引き受けるハメになっているだけのキャラという印象を受けた。

ただ柴くんとのやり取りは全体的によかった。あの2人が同じルーツであるというエモさもあって、コンビとしての評価はかなり高い。

その点網口愁は井田との因縁がありつつもキャラクター性がはっきりしているように感じたし、渚のバカンス効果もあって結構好きなキャラになった。

こういうキャラクターは何を抑えるべきか?という叩き台としてとても参考になるなあ…と思いながらプレイしていた。焼きそばパン何個食ってんだお前?

戦闘パートについて

全編STRONGでやっていたけど基本的に戦闘はヌルかった。3-3のミサイルがやたら飛んでくる回だけ他の戦闘との難易度が数倍違うように感じられたけど編成の問題か?

1,3,4世代はどんな場面においても出しておきたいなと思うくらい強い立ち回りが把握できたけど、結局第2世代機は他の世代の劣化版というか器用貧乏になってしまっている印象のまま終わった。

一番の長所はガーディアンで敵のターゲットを集められることだと思うけど、このゲームは遠くから敵がミサイルでタワーをターゲッティングしてくるので結局元を断つ必要があり、その点に絡める要素があまりないので強いと感じられなかった。

一番使った技は第1世代のデモリッシュブレードか第3世代の長距離ミサイルだと思う。超大型ミサイルといいミサイルレインといい、第3世代機の範囲攻撃は爽快感があっていい。

あと初期PS4でやってるせいだろうけど、大量発生の時にミサイルレインを打ったらfpsが2くらいになって面白かった。

最終戦も敵の物量が最終戦という感じで体験が良く、STRONGでやってよかったなーと思った。対空防衛フレアのおかげで防衛自体は余裕だったけど敵の数が多かったので緊張感あった。

まとめ

計32時間でクリアしたけど、ここ2日で27時間消費してクリアするくらい面白かった。

正直初めからグイグイ引き込まれるほどの強烈な面白さがあるわけではなく、プレイを続けるうちに面白さのジャブを打ち込まれ続ける緩やかな右肩上がり性があると感じていて、それが結果的に体験の良さに繋がっていた。

グラフィックもブラシのタッチが残ったとても好みな描かれ方で、アニメーションや表情も可愛らしく、一枚絵も絵柄が好みだったのでそちらの方向では一切不満がなかったのも良かった。

加えて音楽が非常に良く、特に上に挙げた渚のバカンスは最近聞いた曲の中でも最もいい曲かもしれない。

もともと80年代風の曲はメカメカしい世界観や宇宙などのSFチックな設定に合うと感じられていて、その上本編に昭和時代がガッツリ登場するのでより曲の良さが増幅された。

買って大正解の作品だったし、こういう作品には派手に売れてほしいなと思う。2020年のはじめにこんなにいいゲームに出会えて幸運でした。