私的なグミの歴史

2020/10/06

友人との会話でグミについて話したところ、思った以上にグミに関心を持たれることが多いのと、自分の認識を整理するためにもグミに対する私史や知見を書き残しておく。

平成生まれの主観による歴史認識なので、20世紀からグミを追い続けている人にとってはかなり違和感のある内容になっていてもおかしくない。後述するつぶグミも自分が知ったのは発売から数年経った後なので、メーカーや業界に対する認識も正しいものではないと思う。史実の記録ではなく、あくまでチラシの裏の落書きとして楽しんでもらえれば嬉しい。

グミとの出会い

人生で最初に好きになったグミは果汁グミだった。グレープ味は今ですらいくつかのパターンに分けられるほど個性が生まれづらいが、果汁感たっぷりの味は現代でも独特の個性として商品の売りになっていると思う。

2020年現在グミの要素は、

などがあるものの、自分がグミに関心を持った2000年前後はコーティングの有無や硬さの違いぐらいしか存在していなかったような気がする。

メジャーだったグミは果汁グミ、ひもQ、ポイフル、HARIBO、もぎもぎフルーツなどだろうか。最古のグミとされるコーラアップは今も生き残っているが、当時の自分にとってはメジャーからはやや外れた駄菓子屋にあるグミという認識だった。明治製菓の天下である。

人々もそこまでグミに関心はなく、今のようにいろんなグミをメーカーが開発して売りにかかる、という状態ではなかったと思う。少なくとも当時小学生だった自分にとって、グミは大きな存在のおやつではなかった。

つぶグミとの出会い

自分にとっての転機は、今でも日常的に食べ続けているつぶグミとの出会いだった。

当時まだそこまでグミへの関心はなかったものの、ポイフルのようなコーティングされたグミがたくさん食べたいという気持ちは既に持っていた。

そんな中スーパーで見つけた当時のつぶグミは、安い・多い・ジャンクフード的に美味しいを全て満たす完璧なグミだった。当時は120gも内容量があり、他の同価格帯のグミはポイフルや果汁グミのように60g前後の量がスタンダードだったため、同じ値段でこんなに入ってて良いのか?と思った記憶がある。

一気にグミにハマった小学生の自分はお菓子を買えるタイミングで積極的にグミを買うようになり、売り場のグミをチェックする習慣が定着した。

春日井製菓について

グミシーンを追うようになってから気づいたことだが、春日井製菓がつぶグミを発売したのは1994年とかなり早い。当時の自分は明治製菓によるグミばかり認識していたが、実は別のメーカーのグミも多数存在していたのかもしれない。もっとも記憶に残っていない時点でポイフルや果汁グミなどより売れてはいないだろうが…。

当時好んで食べていたグミの一つにグミ100というものがあり、なんとこれも春日井製菓による製品だった。口の中に残る独特なパウダーと、つぶグミを作ったメーカーらしい、果汁グミとはひと味違った果汁感のあるグミが自分は好きだった。パッケージデザインを変え最近まで販売されていたようだが、今は生産されていない雰囲気を感じている。

(当時のパッケージ画像が個人サイトにしか存在しなかったため、リンクを利用させていただいております。)

今もお金がないが、当時はもっとお金がなかったため、様々な味のグミを食べるためには5つほどの袋が繋がった5連グミとされるパッケージのものを買うのが最適だった。果汁グミも5連グミを出していたが(5種類じゃなかったかもしれない)、グミ100の味はどこか癖になる味だったため、習い事の帰りなどに好んで買っていた。

グミ業界の転機

個人的にグミ業界が大きく動いたきっかけは、2002年発売のピュレグミだったと思っている。

自分はすっぱいものがあまり好きでなかったこともあってあまりハマらなかったが、ピュレグミの発売を契機に新しいタイプのグミの発売が増えたと思う。明治製菓製のグミがメジャーシーンを席巻するグミ業界に、他の製菓メーカーが着目したタイミングなのではないだろうか。

すっぱいパウダーが付着しているグミはシゲキックスが既に存在していたが、世間はグミというよりシゲキックスというジャンルとして認識していたような気がする。

グミの周りに何かを付けるという試みもさることながら、今までにないグミを市場に出す、という挑戦的な姿勢が、その後のグミ開発競争へと繋がっていったように感じる。

そこからは数ヶ月おきに新しいグミが登場するようになった。中にジェルが入ったグミが登場したのもこの辺で、グミの要素の一つとしてあっという間に定着した。(果汁グミぷぷるんなど)

この時期はいかにグミに新しい要素を付与するか、という観点で業界が動いていたと思う。古くはグミチョコが存在していたが、中や外に何かを入れたり付けたりした新商品が多く発売されていた。

グミの本質への回帰

そんな中登場したのがサワーズグミだ。何かを付与するというトレンドの中、周りにパウダーが少し付与されたスタンダードなグミであるにも関わらず一気にグミ界のトレンドを変えたインパクト、それはグミの硬さによるものだった。

新要素を追求していたグミ業界だったがグミ自体の柔らかさにはさほど違いがなかったため、硬いグミをコンセプトとしたグミは、大人も食べるお菓子としての地位を確立しつつあったグミの開発競争に一石を投じた感があった。

もちろんHARIBOは硬いグミとして世間に認識されてはいたが、シゲキックスと同じでHARIBOというジャンルとして認識されていたと思う。サワーズグミはピュレグミのように、グミの硬さを開発要素に加えるきっかけとなったはずである。

余談だが、グミに関心を持ち始めたころから硬いグミが好きだった自分は果汁グミを冷凍庫に入れてカチカチにした後食べることでハードなグミを楽しんでいた。これは全てのグミに利用できる手法のため、当時から硬いグミを好んでいた人ならほとんど試しているワザップなのではないかと思う。

市場での地位を得たグミ江戸時代

2000年代終盤からはおそらく現代と変わらない流れに突入した。一通りグミのパターンが出尽くした感もあり、人気を得ている新しいグミもこれまで紹介したいずれかのグミに似ているか、組み合わせによって開発された商品の印象がある。

2010年代のトレンドとしてあるのは200円前後での少し量の多い袋入りグミの発売だが、これはグミ自体の発展が一通り頭打ちになったのと、内容量の減少に起因する売り方の変更が目的だと思っているので、個人的にはあまり関心がない。

新たな可能性

最近注目しているグミにはペタグーがある。味は今までのパターンに含まれるグミではあるが、サワーズグミで「硬さ」に注目することを提示したノーベル製菓が「形状」に注目し始めたのであれば、新たなグミ体験が生まれる可能性があるのではないか、と感じている。

ピュレグミとシゲキックス、サワーズとHARIBOの関係性のように、今まで形状を売りにしていたグミにはひもQやもぎもぎフルーツなどがある。ひもQは惜しまれながら販売を終了したが、この意思を継ぎ形状で時代を作るグミが今後登場するかもしれない。

個人的に取り上げたいグミたち

最後に、今まで自分が好きだったグミをいくつか紹介する。

この場を借りて個人的な感情を吐露させてもらうのだが、かき氷グミは劣化してしまった。

昔のかき氷グミは3種類ともシャリシャリ食感の味しかなかった。今のいちご味である。このグミのコーティングの柔らかさは絶妙なものがあり、当時の自分はそれが好きでよく買っていた。

しかし、ある時期からザラメをまぶしたザリザリ食感の味を混ぜるようになった。悲しいことにシャリシャリ食感より美味しさは下がり、個性であったシャリシャリ食感は相対的に減ってしまった。俺は本当に悲しい。

個性の強さにより時代の先を行くメーカー、UHA味覚糖による、グミ業界にも一石を投じた製品。

あまりに攻めている商品のため、これをグミとして認めるかどうか議論が巻き起こっているのを観測した記憶がある。

少なくとも新しかったのは間違いなかったが、今でも新しい味が出ているところを見ると人気を獲得したのだと思う。俺もそろそろもう一度挑戦しようかな…。

多くのつぶグミファンが長らく望んでいた、ぶどう味オンリーのつぶグミ濃厚ぶどうの発売から1年。安い・多い・ジャンクフード的に美味しいが売りだったはずのつぶグミがトレンドに乗じたまさかの高級路線。生半可な出来であれば春日井製菓への信仰心にヒビが入るほど自分には挑戦的に感じられる商品だったが、結果としてプレミアムの名に恥じない味の向上が見られた。

つぶグミはその日の体調によって舌が糖分を感じるか味のフレーバーを感じるかが大きく異なると思っており、フレーバーを感じられる日にはいくらでも食べられる美味しさを体験できるが、糖分しか感じられない日にはどれを食べても似たような味になってしまう。

その点このつぶグミPremiumはフレーバーが強く感じられるようになっており、また糖分も抑えられているためかなりの確率でおいしく食べることができる。もちろん果物の味も向上しているため、昨年発売した濃厚ぶどうよりも体験がいい。

グミはおいしい

この記事を読んで、一人でも多くの人がグミに関心を持ち、グミがバカ売れし、更に美味しく面白いグミが開発、販売され続けていくことを願っている。